吹替偉人伝

飛べ!フェニックス[吹替版]
金曜よる11時頃

実力派声優による名吹替がよみがえる。 初めて観た吹替洋画は何だったろう。あの頃、吹替の名優がスターを作り上げ、映画の楽しみを教えてくれた。吹替の偉人たちに敬意を込めて、吹替の名画をお届けします。

『飛べ!フェニックス[吹替版]』ほか

9月の放送作品

  • コナン・ザ・グレート [吹替版]
    吹替偉人伝:玄田哲章
    『コナン・ザ・グレート』から、ほぼ全ての作品を演じているアーノルド・シュワルツェネッガーの吹替えは、本人公認の永久専属。その他にもサミュエル・L・ジャクソンやローレンス・ジャクソンやローレス・フィッシュバーンなど、筋骨隆々な俳優の声を多く担当している。

    9月1日(金)23:15~

    コナン・ザ・グレート [吹替版]

    1982年 アメリカ
    監督:ジョン・ミリアス
    出演:アーノルド・シュワルツェネッガー(玄田哲章)/サンダール・バーグマン(戸田恵子)

    ロバート・E・ハワードの人気小説を映画化したアドベンチャー大作。両親を殺され、故郷を失ったコナンの成長と復讐の旅を描く。玄田哲章による吹替版。

  • 破壊! [吹替版]
    吹替偉人伝:伊武雅刀
    近年では俳優としての活躍が目覚ましいが、その低く響く声でアニメ、ナレーション、そして吹替えと、声だけでも魅せてくれるマルチプレイヤー。声優としては「宇宙戦艦ヤマト」のデスラー総統の声としてあまりにも有名。

    9月8日(金)23:00~

    破壊! [吹替版]

    1974年 アメリカ
    監督:ピーター・ハイアムズ
    出演:エリオット・グールド(伊武雅刀)/ロバート・ブレイク(尾藤イサオ)

    さえない刑事ふたりが警察上層部とつながった麻薬組織に立ち向かう異色のポリスアクション。伊武雅刀による吹替版。

  • 正午から3時まで [吹替版]
    吹替偉人伝:森山周一郎
    その渋い声質を武器に、舞台俳優から声優へと活躍の場を変え、ジャン・ギャバンやチャールズ・ブロンソンなどハードボイルな俳優の声を多く務める。吹替え草創期から今も長く活躍を続ける数少ない偉人の一人。

    9月22日(金)23:30~

    正午から3時まで [吹替版]

    1976年 アメリカ
    監督:フランク・D・ギルロイ
    出演:チャールズ・ブロンソン(森山周一郎)/ジル・アイアランド(小沢寿美恵)

    『この愛にすべてを』の脚本家で、ピューリッツァー賞作家でもあるフランク・D・ギルロイが、監督・脚本・原作を手掛けた西部劇。森山周一郎による吹替版。

  • 飛べ!フェニックス [吹替版]
    吹替偉人伝:家弓家正
    『鉄腕アトム』や『ジャングル大帝』など、アニメ草創期から声優をつとめ吹替えにナレーションと幅広く活躍。吹替えではフランク・シナトラを持ち役とし、ジェームズ・スチュアートといった二枚目俳優からアクの強い俳優の声まで、どんな役でもこなした偉人中の偉人。

    9月29日(金)22:45~

    飛べ!フェニックス [吹替版]

    1965年 アメリカ
    監督:ロバート・アルドリッチ
    出演:ジェームズ・スチュワート(家弓家正)/リチャード・アッテンボロー(宮川洋一)

    エルストン・トレヴァーの同名小説を映画化したサスペンス。砂漠の飛行機事故と乗客救出の顛末を描く。家弓家正による吹替版。

吹替え解体新書
『コナン・ザ・グレート』

『ダーティハリー』の脚本を手がけたジョン・ミリアスが、ロバート・E・ハワードのヒロイック・ファンタジーを映画化。
アーノルド・シュワルツェネッガー(コナン)の声はもちろん玄田哲章。玄田にとって、初めて彼の声を吹替えた記念すべき作品だ。低音で落ち着いた声質が外見に合っていたのは言うまでもないが、野沢那智が主催する劇団薔薇座で鍛えられた玄田の演技力が、まだ俳優として未熟だったシュワルツェネッガーを声の力でアシストし、彼の魅力を増幅させたのは間違いない。その後、玄田がフィックス声優となった大きな要因でもあるだろう。

侵略者タルサを演じたジェームズ・アール・ジョーンズは、ダースベイダーの声としても知られる低音の美声を持つ俳優である。吹替えも、1985年の金曜ロードショーでダースベイダーをアテた坂口芳貞が担当している。名優マックス・フォン・シドー(オズリック王)には、ゲイリー・クーパーのフィックスとして知られる名声優・黒沢良を豪華にキャスティング。及川ヒロオ、青野武など脇役にも実力派の有名声優をキャスティングした必聴の一本だ。

『破壊!』

エリオット・グールドとロバート・ブレイク。風紀課のしょぼくれた刑事ふたりが警察上層部とつながった麻薬組織に立ち向かうバディ・アクション。
エリオット・グールド(マイケル)の声は、伊武雅刀。数々の映画・ドラマに出演する名優として知られるが、実は1970年代は声優としての活躍も多かった。『宇宙戦艦ヤマト』のデスラー総統が有名だが、洋画の吹替えでも主役、脇役として星の数ほど出演。本作でも見事な声の演技を聴かせてくれる。
ロバート・ブレイク(パトリック)は、尾藤イサオが担当。独特のしゃがれた声が、伊武の美声とぶつかり合い、凸凹刑事ふたりの掛け合いを楽しませてくれる。コールガールを演じるコーネリア・シャープには高畑淳子。今は女優として有名な彼女だが、若い頃は伊武と同じく洋画や海外ドラマの吹替えに数多く参加していた。映画『エリザベス』のケイト・ブランシェット、『新・刑事コロンボ 恋におちたコロンボ』のフェイ・ダナウェイなど、硬質なイメージ、強いイメージの女性の声をアテることが多い。

『正午から3時まで』

ハードボイルドな役をアテたら右に出るものはいない森山周一郎。『紅の豚』のポルコ・ロッソで知られる名声優だが、洋画の吹替えでは、何と言ってもジャン・ギャバンが有名だ。ギャバン以外では、スペンサー・トレイシー、テリー・サヴァラスや、月曜ロードショーで放送されるチャールズ・ブロンソンの声を務めた。ブロンソンといえば大塚周夫がフィックス声優として知られるが、実は本人の地声に近いのは森山周一郎である。本作でのブロンソンは珍しく間の抜けた役だが、森山は少し声のキーを高くして、予想外の事態に右往左往する主人公のコミカルさをうまく表現している。ブロンソンとおしどり夫婦で有名だったジル・アイアランドを、アヌーク・エーメ、カトリーヌ・ドヌーヴなど、欧州美女をアテてきた小沢寿美恵が演じているが、その美声にも注目して欲しい。

『飛べ!フェニックス』

ジェームズ・スチュワート(フランク)の声を担当するのは、世界的歌手フランク・シナトラを持ち役とした家弓家正。スチュワートの声は日曜洋画劇場を中心に浦野光がフィックスとして担当することが多かったが、他局への対抗心もあってか、このゴールデン洋画劇場版では家弓が起用されている。骨太い演出に定評があるロバート・アルドリッチ監督作品のため、登場人物は誰もが男臭く、熱いキャラクターだ。本作のスチュワートも気骨があり、感情の起伏も多い。そういった演技も得意な家弓の起用は、本作では成功したといえるだろう。リチャード・アッテンボロー(ルー・モラン)をあてた宮川洋一は、『大脱走』でも同俳優を担当した名声優。喋りの出だしや声のトーンが実に自然で、“吹替えを意識させない”テクニックと演技力は、同業者からの評価も高かった。航空技師ドーフマンを演じたハーディ・クリューガーには、収録当時(1976年)まだ若手であった樋浦勉。岡本喜八の映画や、テレビドラマなどで強い印象を残していた俳優として、声でもさすがの存在感を披露している。


文=Siringo


Siringo【プロフィール】
幼少期よりTVで多くの洋画を鑑賞し吹替の魅力にとりつかれる。'02年より株式会社フィールドワークスでソフト制作業務を担当。独自の吹替探索ルートにより、失われた吹替版を多数復刻。「吹替偉人伝」シリーズにも協力。現在までに関わった吹替収録ソフト、放送用の吹替版素材は100作品を超える。

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10月の放送作品


10月より、放送日時が木曜よる9時に変更になります。

  • 針の眼 [吹替版]
    吹替偉人伝:井上孝雄
    ピーター・オトゥールやロック・ハドソンの吹替えで知られる井上孝雄が、怪優ドナルド・サザーランドを担当。ナチス・ドイツの凄腕スパイを演じた本作に、そのクールな声がピタリとはまり、冷酷非情なキャラクターを見事に表現している。

    10月5日(木)21:00~

    針の眼 [吹替版]

    1981年 イギリス
    監督:リチャード・マーカンド
    出演:ドナルド・サザーランド(井上孝雄)/ケイト・ネリガン(鈴木弘子)

    ケン・フォレット原作の緊迫感あふれるスパイサスペンス。凄腕スパイがノルマンディ上陸作戦の情報を入手するが、ある島で人妻と恋に落ち……。井上孝雄による吹替版。

  • 黄金の指 [吹替版]
    吹替偉人伝:小林清志
    ローバリトンの渋い声でハードボイルドな雰囲気を醸す名優。ジェームズ・コバーンは『荒野の七人』で演じて以降、40年近くフィックス声優として担当。ドスが効いて、渋くてダンディー。コバーンの魅力をそのまま表したかのような小林清志の声で、ソフト化されていない隠れた傑作『黄金の指』をご堪能あれ。

    10月12日(木)21:00~

    黄金の指 [吹替版]

    1973年 アメリカ
    監督:ブルース・ゲラー
    出演:ジェームズ・コバーン (小林清志)/マイケル・サラザン(安原義人)

    4人でチームを組んだスリ集団が、分業により鮮やかな手口で戦果をあげるさまを描く犯罪映画。出演はジェームズ・コバーン、ウォルター・ピジョン。小林清志による吹替版。

  • フレンチ・コネクション [吹替版]
    吹替偉人伝:小池朝雄
    石井輝男監督の映画、『仁義なき戦い』シリーズなどで、善人・悪人分け隔てなく演じた名優。声優としては『刑事コロンボ』のコロンボ役があまりにも有名だが、その善悪では語り尽くせない魅力は、『フレンチ・コネクション』のポパイ刑事(ジーン・ハックマン)にもはまり、骨太なストーリーを盛り立てる。

    10月19日(木)21:00~

    フレンチ・コネクション [吹替版]

    1971年 アメリカ
    監督:ウィリアム・フリードキン
    出演:ジーン・ハックマン (小池朝雄) /ロイ・シャイダー(羽佐間道夫)

    国際麻薬密輸組織の撲滅に執念を燃やす敏腕刑事の活躍を、スリル満点に描写。第44回アカデミー賞で作品賞など5部門に輝いた刑事アクションの名作。小池朝雄による吹替版。

  • フレンチ・コネクション2 [吹替版]
    吹替偉人伝:小池朝雄
    石井輝男監督の映画、『仁義なき戦い』シリーズなどで、善人・悪人分け隔てなく演じた名優。声優としては『刑事コロンボ』のコロンボ役があまりにも有名だが、その善悪では語り尽くせない魅力は、『フレンチ・コネクション』のポパイ刑事(ジーン・ハックマン)にもはまり、骨太なストーリーを盛り立てる。

    10月26日(木)21:00~

    フレンチ・コネクション2 [吹替版]

    1975年 アメリカ
    監督:ジョン・フランケンハイマー
    出演:ジーン・ハックマン (小池朝雄) /フェルナンド・レイ(大平透)

    国際麻薬組織壊滅に執念を燃やす“ポパイ”ことドイル刑事の活躍を描いた刑事アクションの第2弾。主演は引き続きジーン・ハックマン。小池朝雄による吹替版。