甦るノルシュテインの世界 甦るノルシュテインの世界

それはすべての人の中に眠る、哀しいほど綺麗な記憶の断片。

世界最高のアート・アニメーターであるユーリー・ノルシュテイン監督の作品を、
イマジカBS開局20周年記念として日本で完全修復。
切り絵で描かれたノルシュテイン監督の繊細な画面が、世界唯一のHD高画質で甦ります。

ユーリー・ノルシュテインとは

ユーリー・ノルシュテイン監督

1941年、ソ連生まれのロシア人アニメーター。
切り絵を用いた緻密な作風で知られ、アート・アニメーションの神様的な存在。
世界中のアニメーターからリスペクトされており、日本ではスタジオジブリとも親交が深い。代表作は『霧の中のハリネズミ』『話の話』など。

フィルモグラフィ

製作年作品名
1968年『25日・最初の日』
1971年『ケルジェネツの戦い』
1973年『キツネとウサギ』
1974年『アオサギとツル』
1975年『霧の中のハリネズミ』
製作年作品名
1979年『話の話』
1981年〜『外套』※未完成・撮影中
1995年「ロシア砂糖」CM
1999年「おやすみなさい、こどもたち」 TV用
2003年『冬の日』

放送作品

#1『霧の中のハリネズミ編』

1/421:00~

世界唯一のHD高画質で甦った、世界中の映像クリエーターから尊敬を集めるロシアのアニメーション作家、ユーリー・ノルシュテイン監督の作品群。そのうちの3作品を、日本人クリエーター、山村浩二氏と加藤久仁夫氏、江川達也氏の3人が、監督の魅力について語るミニ番組とともに放送。監督本人による貴重な作品解説付きでお届けします。

出 演
ユーリー・ノルシュテイン
山村浩二 …… アニメーション作家
加藤久仁夫 … アニメーション作家
江川達也 …… 漫画家
『キツネとウサギ』

1973年/10分

初めて動物キャラクターが登場する作品であり、初の子ども向け作品、初の単独監督作品。とぼけたユーモアと民衆美術を取り入れたセンスが素晴らしい。

監督よりこれは、ロシアではみんなが知っている童話で、絵にはガラジェッツ(ゴロジェッツ)の民衆絵画を取り入れています。民衆絵画はロシアの伝統や美を守り伝えていて、それらが描かれた雑貨に囲まれて生きている人々は、知らぬ間に文化的になっていきます。フレーム内で上下左右に動く手法を使っていますが、これも民衆絵画からのアイディアです。

『アオサギとツル』

1974年/10分

ロマンチックな幻想と幻滅とがせめぎあう悲喜劇。
日本の浮世絵・水墨画を参考に、初めて複数の背景を重ねる手法で制作された作品。

監督よりやりたいことが自分でできたと思える、最初の作品です。私は妻であり美術監督でもあるフランチェスカと話し合い、非常に軽く透明感のある映画にしようと決めました。そして私たちはすぐに日本の美術や版画を思い浮かべました。物語の舞台となった空間は、『ギリシア文明史』という本で見つけた、古代都市の廃墟に影響を受けました。

『霧の中のハリネズミ』

1975年/10分

世界で最も愛されたノルシュテイン監督の入門編的な代表作。
キャラクターの動き、音楽、セリフ、効果音が完璧に調和。

監督より児童文学作家のセルゲイ・コーズロフが持ってきた作品の中に、『霧の中のハリネズミ』があり興味を持ちました。なぜなら、そこに日本の文化を思いおこさせるものがあったからです。その後私自身でシナリオを書き、小さな物語を深めていきました。これは美術監督フランチェスカとカメラマンと私の力が、一点に集中してできた作品なのです。

#2『話の話編』

1/422:00~

世界唯一のHD高画質で甦った、世界中の映像クリエーターから尊敬を集めるロシアのアニメーション作家、ユーリー・ノルシュテイン監督の作品群。そのうちの3作品を、日本人クリエーター、山村浩二氏と加藤久仁夫氏、江川達也氏の3人が、監督の魅力について語るミニ番組とともに放送。監督本人による貴重な作品解説付きでお届けします。

出 演
ユーリー・ノルシュテイン
山村浩二 …… アニメーション作家
加藤久仁夫 … アニメーション作家
江川達也 …… 漫画家
『25日・最初の日』

1968年/10分

ロシア・アヴァンギャルドアートに着想を得て、
ロシア革命を鮮烈に描いた記念すべき監督デビュー作。

監督よりこの作品のアイディアは、私の美術や絵画、特に20世紀の前衛芸術に対する愛から生まれました。それらが持つダイナミズムに大変興味を持っていたのです。音楽はショスタコーヴィチの2つの革命交響曲を使いました。絵画と音楽が一体となっている、そのような作品が作られたのは、アニメーションの歴史上初めての事でした。

『ケルジェネツの戦い』

1971年/10分

ロシア聖像画(フレスコ美術・細密画)の手法を使い、カラー・ワイドサイズで制作。
鮮烈な色彩で戦争を描いた圧巻の第二作。

監督より『ケルジェネツの戦い』というのは、有名なオペラ『見えざる町キーテジ』の間奏曲です。撮影の際、私はより完成度の高く洗練された切り絵手法(カットアウト)を提案しました。重要なのは、音楽と映像の質感が一緒になって動きを作っている事です。作品で使われたイコン(聖画像)は、資料を参照し美術家たちが自分たちの手で作りました。

『話の話』

1979年/10分

世界アニメーション史上の名作と名高い最高傑作。ノルシュテイン自身の自伝的な記憶が色濃く反映され、それゆえ素晴らしく詩的で、忘れがたい印象を残す。

監督より私は子供の頃、夏に共同住宅の暗い廊下から開いたドアを通して明るい庭の方を見て、強い光のコントラストに驚いて眺めていました。これが『話の話』の廊下に立つオオカミのシーンです。また、近くの線路を通る蒸気機関車の汽笛の音を聞くのが大好きで、『話の話』の最後に出てくるように汽車が蒸気に包まれているのを見ました。

2K修復プロジェクト

世界遺産級の傑作をIMAGICAで2K修復

『霧の中のハリネズミ』『話の話』など、世界的に評価の高いノルシュテイン監督の作品群。ことに日本にはファンも多く、監督自身も過去、何度も来日し、日本のアニメーション界の人たちとの交友関係もよく知られています。今回、イマジカBS開局20周年記念企画として、「映像の世界遺産」と言っても過言ではない、ノルシュテイン監督のソ連時代の6本の短編を、ロシアでオリジナル・ネガ・フィルムから2Kスキャニング、そのデータを日本で2K修復することになりました。

修復までの道のり

1取り込み

フィルムからデジタル・データへ変換

映画の保存と修復を手掛けるロシア最大のフィルム・アーカイブ、
ゴスフィルモフォンドにて、6作品の35mmオリジナル・ネガから2Kでスキャニング。

2レストレーション

細心の注意を払いつつ、フィルム上の傷やゴミを除去

「デジタル・レストレーション(修復)」とは、画面上のゴミや傷のある部分に、近くのコマから同じような部分をコピーして貼り付けることによって元の状態に近づける作業。これによってフィルム上の傷やゴミを除去します。

3グレーディング

明るさやコントラストなどの色調を補正

「グレーディングとは、映像の色を表現したい色に補正する作業のこと。
実写映画であれば、空や木など、現実にあるものの姿も色を決めていくヒントにできますが、アニメーションではそうはいかないため、ノルシュテイン監督の制作風景を取材した写真集で原画の様子を確認したり、過去に上映用フィルムから変換されたDVDなどの色調を参考にし、監督の狙いがどこにあるのか、頭を悩ませながら仕上げていきました。

4修復完成

長い道のりを経て、後世に残すべきアニメーションが
世界唯一のHD高画質で甦りました。

監督より今回の修復作業に心から『感謝』の意を捧げます。
元の素材に多くの問題があり、困難を極めたことは想像に難くありません。それでも多くの部分が、魅力的な状態へと変化しています。

修復例

傷は奇麗に除去され、色調も美しく補正されています。

修復前

修復後

修復前

修復後

修復を行った株式会社IMAGICAのホームページにて、 2K修復の詳細を公開中

詳しく知りたい方はこちら

予告編