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フェリーニ『サテリコン』は危険な一大体験である。

昨夜は実は気が昂ぶって寝付けなかった。1970年の秋以来のフェリー二の『サテリコン』の素晴らしいBlu-rayを観てしまったためである。

 

1970年の秋に千日前の敷島シネマでロードショウ公開された本作は、その年の春から大阪で開催されていた「万博映画祭」においても上映されたから有名であった。またボクにとっては初めてのフェリー二作品。勢いこんでスクリーンに向かった。しかしながら当時16歳のチェリーボーイ高校生には、ただただ驚きの悪夢的経験であり、男色姦淫汚辱にまみれた世界が衝撃でないわけがない。しかし、その狂ったような 映像のボリュームだけははっきりと受け止めた。

 

観直したくともフィルムはすぐにジャンクされたのか、自分の住む近辺では名画座にかかることはなかった。それが4Kレストアされ音も生まれ変わったのである。ところが48年経過したというのに、その衝撃はまったく当時と同じで、還暦過ぎの身を苛むのである。少しは理解できるようになっただろうという淡い期待は木っ端微塵になった。エウモルポ(エモルポ)役のサルヴォ・ランドーネがのしのしと登場したとき、当時も全身鳥ハダになったことを思い出した。これは体験する映像魔界であり、地獄絵図である。

当時のユナイトは前売り特典にA3サイズのオリジナルポスターを制作しており、ボクには『アリスのレストラン』の特典ポスターと共に家宝である。チラシも2種類つくられたが、この特典ポスターのようなデザインの凄みはない。

 

85分枠で放送された時の吹替がついているが、この吹替が素晴らしい出来栄えで、心から感服した。サルヴォ・ランドーネの声を当てているのが東宝の大部屋俳優だった大久保正信さんで、いい声である。『七人の侍』のタイトルにも名前が確認できるが、大久保正信をボクらに認識させたのが森谷司郎の畢生の力作『首』(1968)での鑑識職員である。興味がある人は是非確認してほしい。脚本は昨日7月19日に亡くなった橋本忍である。

 

Blu-rayの特典についている『サテリコン日誌』はVHSソフトでもっているが、これで廃棄することができる。サテリコン撮影中のフェリー二は狂っていたと思う。だが『サテリコン日誌』を見るかぎり冷静沈着なのである。これほどの狂いっぷりは、コッポラの『地獄の黙示録』くらいだろう。

 

支離滅裂な感想になってしまったが、それほど『サテリコン』は危険な一大体験である。あのセット、CGならバカだけど、建造しているんだぜ。映画ファンなら一家に一枚持っていても不思議じゃない作品です。

 

Blu-ray『サテリコン 4K修復版』2018年7月27日発売!

 

FELLINI SATYRICON © 1969 Alberto Grimaldi Productions S.A. All Rights Reserved.


サテリコン
FELLINI SATYRICON

1969年 イタリア=フランス
監督:フェデリコ・フェリーニ
出演:マーティン・ポッター、ハイラム・ケラー、マックス・ボーン