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【世界の巨匠〈オリヴァー・ストーン〉】「JFK[ディレクターズカット版]」

ケネディ暗殺の真犯人は誰か。歴史的にはオズワルドという人物の犯行とされるが、彼自身も射殺されたことで真実はわからなくなった。地方検事ジム・ギャリソン(ケビン・コスナー)は、真実の裏に国家ぐるみの疑惑があるとみて捜査を開始。1966年のことである。そしてその迷宮に再び取り組んだのが、オリヴァー・ストーンであり、『JFK』(91)は社会的な議論を呼ぶ作品となった。

 

そして議論を生むだけの迫真性がこの映画にはある。記録映像と新撮映像を細かくつないで当時を再現する画面の推進力(アカデミー撮影・編集賞受賞)。圧倒的セリフ量で、言葉と映像が殴りかかってくるような議論の大迫力。特にラスト約40分(!)にわたる裁判シーンでの、ケビン・コスナーの言葉の洪水のような大演説と、暗殺現場を再現しつつ矛盾を解いていく演技の説得力は圧巻の一言だ。

しかし、有無を言わさぬ強引な映画の構成に、公開当時のジャーナリズムは一斉に背を向けた。かつてニクソン政権の疑惑を暴いた、ワシントンポストのベン・ブラッドレー(スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』(17)でトム・ハンクスが演じた人物)さえ否定的だった。揺るぎなき事実を積み上げて真実を追求するジャーナリストの目には、よくも悪くも映画の持ち味である、虚実同列したこの映画が洗練を欠くと見えても仕方ないかもしれない。

 

しかし興行的には大成功となった。議論の高まりは、当時の父ブッシュ大統領を動かし、本来2029年まで封印されていたケネディ暗殺関連全文書の公開を、2017年10月に前倒しにした。

 

しかし。その2017年10月が来たとき、トランプ大統領は全文書公開を指示したが、CIAとFBIが介入。一部文書を非公開のままとし、その是非につき180日の検討猶予が持たれた。しかし180日後、結局トランプ大統領は全文書公開をまたも2021年に延期した。理由は不明である。

 

映画の中でギャリソンは言う。「大統領暗殺のどこに国家機密が?」。ギャリソンとストーンの闘いは今も続いている。

 

参考文献

ジェームズ・リオーダン「オリバー・ストーン―映画を爆弾に変えた男」(遠藤利国・訳 小学館)

フレデリカ・ホーストマン「映画に必要なことはすべてベトナムの戦場で学んだ 監督オリバー・ストーンの記録」(家田荘子・訳 メディアファクトリー)

https://biz-journal.jp/2018/06/post_23585.html

https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/10/fbicia.php